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紫外線とUV-A・UV-Bの違い – UVカット加工を知って、着る紫外線対策!

紫外線とUV-A・UV-Bの違い – UVカット加工を知って、着る紫外線対策!

地球を照らす太陽の光は、空気や土、水と同じように私たちの生活に不可欠なもので、たくさんの恩恵があります。太陽の光に含まれる紫外線は、カルシウム吸収を助けるビタミンDの生成をサポートするはたらきがある一方で、紫外線による日焼け(サンバーン)を起こしたり、シミなどの老化、免疫低下などのデメリットもあります。

これから地表に降り注ぐ紫外線の量が気になる季節。そこで!今回は紫外線と、UVカットについて解説していきます。

太陽光線の組成 - 可視光線・赤外線・紫外線

太陽光線には下の図のように、人の目で見える可視光線と、目に見えない紫外線・赤外線があります。

太陽や電球などの光源から放射される光の正体は、質量のないエネルギー粒子で、光の一番小さい姿であるフォトン(光子)からできています。光子は真空中を1秒間に地球7周半するスピード(2,99792458×108m/秒)で、振動しながら伝播しています。太陽の光で考えると、約8分後に地球に到着するようなスピードです。

光子は、波長と周波数(振動数)で分類されます。太陽光線は地球にまっすぐ進行して降り注いでいるわけではなく、小さな波状に振幅しながら降り注ぎます。この光線の振幅(スペクトルの幅)を波長と呼びます。光線の波長は、nm(ナノメーター:10億分の一)という単位で計測されます。

光線にはそれぞれ異なる波長があり、光の波長の幅が短いほどエネルギーが大きくなります。

    • 赤色の光の領域は長い振幅を持つので、長波長光といい、振動数が小さく、弱い光子エネルギーです。
    • 紫色の光の領域は短い振幅を持つので、短波長光といい、振動数が大きく、強い光子エネルギーです。

可視光線

プリズムを通すと、赤から紫までの7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)に分光して見えます。虹が7色に見えることはよく知られていますね。もう一度プリズムを通して光を混ぜ合わせると、色はなくなります。私たちの目にはこの7色が混ざり合って白色に見えていて、色のない光は白色光といい、太陽光は通常白色光として存在しています。地球に届く太陽光のうち、可視光線が一番多く52%を占めていて、明るさをもたらします。

可視光線を遮る加工(明るい光を透過させない加工)としては、遮光カーテンが身近かもしれません。

赤外線

可視光線の中でも波長が最も長い「赤」色の「外」側にある光「線」を、赤外線(IR,infrared rays)といいます。地球に届く太陽光のうち、赤外線は42%を占めていて、暖かさや暑さといった温熱作用に影響します。日向ぼっこで体が温まったり、屋外温水器でお湯が沸くのも、洗濯物を屋外に干すと乾燥するのも、家電製品のリモコンも、赤外線のおかげです。ただし、夏に熱中症にかかるのは、赤外線の有害作用のひとつです。

赤外線を遮る加工(熱作用を遮蔽(しゃへい)させる加工)として、遮熱加工があります。

紫外線

可視光線の中でも波長が最も短い「紫」色の「外」側にある光「線」を、紫外線(UV,ultraviolet rays)といいます。UV-Cは強い殺菌力がありますが、大気圏のオゾン層に吸収されるため、地上には到達しません。

地球に届く太陽光のうち、紫外線が占める割合はたった6%です。しかしそのたった6%の紫外線が、人にとって有益にも有害にも作用します。紫外線は、可視光線や赤外線よりも光子エネルギーが大きいため、物質への化学変化も起きやすくなります。前述の通り、紫外線はビタミンDの生成をサポートする反面、肌トラブルや老化、ガンの原因にもなります。

紫外線を遮る加工として、UVカット加工があります。

太陽からの光には、可視光線・赤外線・紫外線があることが分かったところで、太陽から降り注がれる紫外線の量について、詳しくみていきましょう。

紫外線量の月別変化

太陽から降り注ぐ紫外線の量は、季節によって変化があります。下のグラフは、2020年の東京の紫外線量で、4月〜9月にかけて紫外線量が多く、11月〜1月は少ないことが分かります。地域や天候によって差が出ますが、日本の紫外線はおおむね夏は多く、冬は少なくなります。特に8月は紫外線量がピークを迎えるため、紫外線対策とあわせて熱中症対策も重要です。

また、時間で見ても紫外線量が変わり、正午(12時)をはさむ2〜3時間、つまり午前10時〜午後14時が最も多くなります。夏の日中に外出したり、屋外で作業するときは、外で過ごす時間をできるだけ短くするような注意が必要です。

天気が曇りや雨でも、紫外線は地表に降り注いでいます。晴れの日の紫外線量を100%とすると、曇りの日は50%以上、雨の日でも20%程度の紫外線が降り注ぎます。

また、直接浴びる紫外線だけでなく、アスファルトやスキー場の雪によって反射する紫外線にも油断してはいけません。雪はなんと80%以上の反射率があるとも言われています。

地表に届く、UV-A と UV-Bの違い

上述した通り、地表に降り注ぐ太陽光のうち、紫外線が占める割合は6%だけです。波長が短い紫外線は、たった6%であっても肌を守った方が良い理由があります。その理由を見ていきましょう。

紫外線にはUV-AとUV-B、UV-Cの3種類がありますが、地表に届く紫外線はUV-AとUV-Bの2つです。UV-Cはオゾン層に吸収されるため、地表には届きません。

UV-A
地表に届く紫外線の95%を占めるのが、UV-Aです。紫外線の中で最も波長が長く、雲や家のガラス窓も透過して、肌の深部(真皮)まで到達する紫外線です。私たちが衣服を着ていても、UVカット加工されていない衣服や、カット率の低い衣服は通り抜けてしまい、UV-Aが皮膚の真皮に到達します。

メラニン色素を作って肌を黒くしたり、ハリや弾力を生むコラーゲン、ヒアルロン酸をつくりだす線維芽細胞を傷つけてしまい、光老化の原因となります。

UV-B
UV-Bは全紫外線の5%を占めます。UV-Aより波長が短く、窓やガラスを通過できません。肌の表面で吸収されるため、皮膚の表皮にのみ影響を与え、真皮まで到達することはほとんどありません。

ビタミンD合成をサポートしたり、殺菌作用があるのもUV-Bです。しかしUV-Aよりも強い光子エネルギーを持つため、たくさん浴びると細胞を損傷して火傷のように赤く炎症を起こし(サンバーン)、メラニン色素が沈着して褐色になったり(サンタン)、シミやソバカス、白内障や免疫力機能低下、ガンの原因になるとされています。

UV-AとUV-B、それぞれが私たちの体に与える影響をご理解いただけたでしょうか。では、紫外線から衣服で肌を守る方法について見ていきましょう。

紫外線を透過させない衣服のポイントと、UVカット加工

太陽光を防ぐ素材、というと可視光線、赤外線、紫外線の3つを全て防いでくれる素材だと混同してしまいませんか?同じ太陽光であっても、全てを防げるものでもありません。

可視光線を防ぐ遮光素材、赤外線を防ぐ遮熱素材、紫外線を防ぐUVカット素材はそれぞれ別のものです。例えば遮光素材であれば、多少のUVカット機能はあるものの、本来の性能とは異なります。太陽光の何を防いでくれるものなのか、きちんと確認し、防ぎたい光線に合わせた機能の素材を選ぶことが大切です。

紫外線を透過させない衣服には、「密度」・「色」・「素材」の3つのポイントがあります。また、紫外線を遮蔽する衣服の加工として、紫外線遮蔽加工(UVカット加工)があります。

まずは衣服の「密度」・「色」・「素材」の3つのポイントを確認していきましょう。

・生地の編み方
糸や繊維の密度によって紫外線遮蔽効果が変わります。目が粗い生地よりも、目が詰まっている生地の方がUVカットにつながります。また、伸縮性がある生地や薄い生地、透ける生地よりも、厚みのある生地は紫外線透過率が低くなります。

例えばデニム。生地の密度が高く、厚みがあり、紫外線の透過率が低い素材なので、紫外線対策に最適です。ブルーデニムは紫外線の99.94%をカットし、透過率は0.06%とされています。アウトドアで過ごす日はジーンズを選ぶといいようです。また、帽子や夏用手袋(アームカバー)を併用して、肌の露出を抑えるとより効果的です。ただし紫外線が厳しい夏に、密度の高い衣服を着用すると通気性が悪く、熱中症の危険性もあるので注意してくださいね。

・色
色によって紫外線透過率が異なることはご存知ですか?UVカットに有効なのは、薄い色よりも濃い色です。夏になると白のコットンTシャツを着たくなりますが、白いシャツは紫外線を跳ね返すことなく透過させてしまうので、日焼け対策にはUVカット生地を使用した黒いTシャツがおすすめです。ところが熱中症対策には黒はお勧めできません。黒は熱を吸収して熱くなるため、夏の着用には注意が必要です。

(紫外線透過率が低い)黒 < ブルー < グリーン < イエロー < オレンジ < ピンク < 白(透過率が高い)

白や薄い色でも、UVカット加工がされているものを選んだり、素材を工夫することで紫外線対策になります。

・素材
ポリエステル、ビニロン、羊毛などは紫外線の透過率が低く、ナイロン、アセテート、綿、麻、絹などは透過率が高くなります。綿や麻は涼しくて夏向きの素材ですが、紫外線対策向きではありません。ただし、上述の通り、生地の密度や厚みによって透過率は変わります。デニムのような高密度で厚みのある生地であれば、天然繊維であっても紫外線の透過率は低くなります。

ポリエステルはUV-Bを90%以上もカットしますが、UV-Aのカット率は低いとされています。ところが綿とポリエステルの混紡素材(ポリコットン)は、紫外線透過率が低くなるため、夏の素材としてお勧めです。夏に白いTシャツを着たいときは、ポリコットン素材を選ぶと良いでしょう。

 

薄い生地や天然繊維であっても、UVカット剤をコーティングしたUVカット加工の衣服を選ぶことで、夏を快適に過ごせます。次にUVカット加工について、確認してみましょう。

UVカット加工には、2種類ある

夏になると、UVカット加工がされている服がたくさん売られていますが、UVカット加工とはなんでしょうか?

紫外線を吸収、または反射することで、紫外線を遮断する加工のことです。UVカット加工がされている服は、紫外線の透過率が下がります。もともと紫外線透過率の低い黒でも、さらに透過率が下がり、紫外線を透過しやすい白でも透過率が大幅に下がります。

UVカット加工には、「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」の、大きく2種類があります。

・紫外線散乱剤を繊維に練り込んでいるもの
カーボン、特殊セラミック、酸化チタン、酸化亜鉛など無機物の微粒子を練り込んだ化学繊維や、織り込んだ化学繊維で衣類を作ります。微粒子が外からの紫外線を反射し、散乱させることで、肌に直接紫外線が作用するのを防ぎます。ポリエステルやレーヨンなどの素材に加工されることが多く、高濃度で織り込むほどUVカット効果が高くなります。洗濯や使用頻度によって効果が下がりにくいのが特徴です。

綿などの天然繊維に加工できないことがデメリットです。

・紫外線吸収剤を生地に浸透したもの
生地や衣類が完成した後に、紫外線吸収剤(主に有機物)を塗布・付着する加工方法です。コーティングされた紫外線吸収剤が外からの紫外線を吸収して、微小な熱エネルギーに変換して放出するため、肌への直接的な影響を防げます。安価にUVカット効果を付与できるため、一般に市販されているUVカット衣服のほとんどはこの方法です。綿などの天然繊維素材にも加工することができるので、天然繊維を着用したい方におすすめです。

繊維自体に紫外線カット効果がないため、洗濯や使用頻度によって薬品が剥がれ落ち、効果が薄れていくというデメリットがあります。

繊維製品の紫外線遮蔽(UVカット)評価指数 - JIS規格

日本では長い間、UVカット加工が施された衣服の、紫外線遮蔽に関する基準が定められていませんでしたが、2019年1月21日にJIS規格(JIS L 1925)が発行されました。ドラッグストアなどで売られている日焼け止めクリームに「SPF40+」や「PA+++」といった効果の目安となる指標があるように、UVカット加工された繊維製品の紫外線遮蔽効果についても、基準となる指標できたのです。

UVカット加工された衣服で、紫外線遮蔽の検査を受けたものは、紫外線遮蔽率「90%」や、UPF値「50+」といった数値が表記されます。

JIS L 1925では、紫外線遮蔽率の測定方法とUPF(紫外線防護係数)の測定方法が規定されていて、試験に用いる紫外線の波長領域は290~400nm、UPF格付け値は10段階(UPF50+、UPF40 など)で表されてます。紫外線遮蔽率は、生地を透過して紫外線量がカットされる割合を意味し、測定する紫外線が生地へ入射する強度と、生地を透過した強度との割合(分光透過率)に基づいて紫外線遮蔽率を算出します。

・紫外線遮蔽率
紫外線遮蔽効果の評価として、地表面に降りそそぐ 290 nm ~ 400 nm の波長の紫外線を生地に照射し、測定した透過率(分光透過率)から紫外線遮蔽率と紫外線防護係数(UPF)を算出しています。
紫外線遮蔽率(%)=(1-分光透過率)x 100

紫外線遮蔽率の屋外使用時の目安
・紫外線予報 弱 … 紫外線遮蔽率 80%以上の衣服
・紫外線予報 やや強 … 紫外線遮蔽率 90%以上の衣服

・紫外線防護係数:UPF(Ultraviolet protection factor)の格付け値
UPFとは、紫外線対策をしていない場合の皮膚への影響と、生地により紫外線対策した場合の皮膚への影響の比を表します。生地に紫外線を照射して、計算式に基づきUPFを算出し、測定結果を評価するためにUPF換算値、格付け値を求めます。

UPF格付け値の数値の大きいほど紫外線の遮蔽効果が高くなります。例えば UPF40 の生地の場合、紫外線が透過する量は UPF20 の生地の約 1/2 となります。

繊維製品の紫外線遮蔽(UVカット)評価指数 - UPF(紫外線保護指数)

日本のJIS規格にもありましたが、UPF(Ultraviolet Protection Factor,ウルトラバイオレット・プロテクション・ファクター)という指標をご存知ですか?

ドラッグストアで売っている日焼け止めの指標は、SPF(Sun Protection Factor,サン・プロテクション・ファクター)といい、紫外線によって起こる急性炎症の防止効果の指標です。

UPFは、紫外線の影響が大きいオーストラリアとニュージーランドで制定された、衣類の紫外線保護指数です。衣類がどのくらい日焼けを防ぐのかを数値化したもので、UPF15以上で防御効果があり、50+が最高値です。

素肌のまま20分程度で日焼けした場合、UPF20+の場合は20分×20(UPF)=400分間(約7時間)は日焼けを防ぐ効果があることを意味します。ただ、このUPFも完璧なものではなく、UV-Bの保護指標であってUV-Aの保護指標にはならないなどの問題が指摘されています。

UPFの評価基準
良 … 15, 20
優 … 25, 30, 35
秀 … 40, 45, 50, 50+

JIS規格とUPFはちょっと分かりにくいですが、どちらにしても、きちんと数字を明記している衣服を選びたいものです。

屋外で仕事をすることが多い方でも、外出が短時間な方でも、紫外線の悪影響を避けるために、紫外線量が増える4月〜10月はUVカット加工がされた衣服で「着る紫外線対策」をしてお出かけくださいね♪