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労衛法に基づく保護帽(ヘルメット)の特徴と種類

労衛法に基づく保護帽(ヘルメット)の特徴と種類

工事現場や工場などで見かけるヘルメット。頭部を保護する防具がいつ頃からあったのか正確には判明していませんが、紀元前2600年頃のシュメール人が革製ヘルメット=兜(かぶと)を着用していたことが分かっています。頭部を守ることは、命を守ること。紀元前から頭部の保護は重要だと考えられていたんですね。

頭部の安全を守るために、作業時にヘルメットが着用されるようになったのはつい最近のことです。1919年、第一次世界大戦でヘルメットの重要性に気がついたのは、アメリカの鉱山用機器メーカーの社長(エドワード・W・ブラード)でした。当時、鉱山労働者にとって金属製ヘルメットは高くて購入できないため、キャンバス生地と接着剤を積層して熱成形したものを開発しました。これが「ハードボイルド・ハット」と名付けられた安全帽の誕生でした。

安全帽は急速に広まるとともに、作業者の安全を守るために常に進化してきました。そこで今回は、頭を守るヘルメットの知っておきたい基本知識を特集します!

保護帽の着用は労働安全衛生法に規定されている

労働安全衛生法に定められた危険な作業場所や、これに準ずる場所での作業には、労働者の危険を防止するための保護帽(ヘルメット)の着用が規定されています。

保護帽を着用しなければならない作業には、例えば次のようなものがあります。

  • 不整地運搬車の荷の積卸し(労働安全衛生規則151条の52)
  • 貨物自動車の荷の積卸し(労働安全衛生規則151条の74)
  • ジャッキ式つり上げ機械を用いての荷のつり上げ、つり下げ等の作業(労働安全衛生規則194条の7)
  • 明り掘削の作業(労働安全衛生規則366条)
  • 採石作業(労働安全衛生規則412条)
  • はいの上の作業(労働安全衛生規則435条)
  • 港湾荷役作業(労働安全衛生規則464条)
  • 造林等の作業(労働安全衛生規則484条)
  • 林業架線作業(労働安全衛生規則第516条)
  • 鋼橋の架設、解体、変更の作業(労働安全衛生規則517条の10)
  • コンクリート工作物の解体、破壊の作業(労働安全衛生規則517条の19)
  • コンクリート橋の架設、変更の作業(労働安全衛生規則517条の24)
  • 物体の飛来、落下の危険があるとき(労働安全衛生規則538条、539条) 等

保護帽とは

保護帽とは、頭部損傷、あるいは頭部感電による危険を防止または軽減するために使用される保護具で、厚生労働省が定める労働安全衛生法第42条の規定に基づく「保護帽の規格」に適合したもので、後述する検定基準に基づいて製造されています。

「保護帽の規格」には、次のような項目が規定されています。

  1. 保護帽の各部に使用する材料
  2. 保護帽の構造
  3. 保護帽の耐貫通性能
  4. 性能試験に用いる人頭模型、試験用円錐型ストライカー及び試験用ジグ
  5. 保護帽の衝撃吸収性能
  6. 保護帽の表示

保護帽及び電気用帽子は、帽体、着装体、衝撃吸収ライナー(製品による)、あごひも等の部品によって構成されています。これらの部品の一部でも性能が低下すれば、危険を防止または軽減することができなくなります。

番号 名称 備考
帽体 頭部を覆う、硬いかく(殻)体
着装体 ハンモック  保護帽または電気用帽子を頭部に保持し、当たりを良くして衝撃を緩和する部品
ヘッドバンド
環ひも
衝撃吸収ライナー 発泡スチロール製等の衝撃を吸収するための 部品(梱包材料ではありません)
あごひも 保護帽または電気用帽子が脱落するのを防止 するための部品

帽体
材質はいくつかの種類があり、今回の特集後半で材質の比較表をご説明します!蒸れるからといって、勝手に穴をあけたり加工はしないでください。帽体の強度が弱くなってしまうので危険です。通気性を重視するときは「通気孔あり」の保護帽を選ぶようにしましょう。

つば
つばがあるタイプの保護帽は、飛来落下物や前面の障害物から保護してくれます。狭い場所では、つばのないタイプが作業しやすいです。

アゴひも
ヘルメットが外れるのを防ぎます。自分のサイズに合わせて、ひもはしっかり締めましょう。

ハンモック
帽体とのコンビで衝撃を吸収する大切な部分です。この部分は消耗品ですので、1年程度で取り替えることが重要です。

衝撃吸収ライナー
墜落用には必ず帽体とハンモックの間に衝撃吸収ライナーがあり、衝撃の吸収カを高めます。ライナーを取ってしまうと墜落用として使えません。

ヘッドバンド
二重のヘッドバンドでサイズを調節し、自分の頭に合わせることができます。上で頭の大きさに合わせ、下で上下のぐらつきを防ぎます。きっちり被ることが安全につながります。

労検ラベルは、検定に合格したものに貼付される

労働安全衛生法の規格検定として、保護帽には耐貫通性試験・衝撃吸収性能試験・耐電圧性試験が行われます。これらの試験によって性能が確認された保護帽は、労働省の「保護帽の規格」に適合するもので、型式検定合格品には「労検」のラベルが貼付されます。ヘルメット製造メーカーにより表記が異なりますが、労検ラベルには以下のような事項が記載されています。

  • 検定取得(更新)年月
  • 検定番号
  • 製造会社名
  • 製造年月
  • 使用区分
  • 帽体材質(使用している材料名)
  • その他 JIS規格等の表記

労働安全衛生法の規格検定: 耐貫通性試験・衝撃吸収性能試験・耐電圧性試験

耐貫通性試験
区分 試験方法 性能
飛来落下用 質量3.0kg・先端角度60度の鋼製円すい形ストライカーを、1mの高さから人頭模型に被せたヘルメットの頭頂部に落下させる。 当該円すい形ストライカの先端が人頭模型に接触しないものであること。
墜落用 耐貫通性試験ジグにセットした帽体に、質量1.8kg・先端角度60度の鋼製円すい形ストライカーを600mmの高さから落下させる。 当該試験用ジグの頂部リングの上端から帽体内部のくぼみの最下降点(円すい形ストライカの先端が帽体を貫通した場合にあっては、当該円すいストライカの先端)までの垂直距離が15ミリメートル以下であること。
衝撃吸収性能試験

<前処理条件>
試験を行なう場合は下記に示した前処理を完成品のまましなければならない。
・高温:温度が48℃以上52℃以下の場所に2時間置く。
・低温:温度が零下12℃以上零下8℃以下に2時間置く。
・浸せき:温度が20℃以上30℃以下の水中に4時間置く。

区分 試験方法 性能
物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽 高温、低温、浸せきした完成品の装着体(ヘッドバンド)が人頭模型に密着しない状態で装着し、5kgの半球形ストライカを1mの高さから頂部に落下させる。試験は、前処理後1分以内に終了すること。頂部すき間を調節することができる保護帽については、頂部すき間を最短にして行なう。 人頭模型にかかる衝撃荷重(以下この表において「衝撃荷重」という。)が4.90kN(キロニュートン)(500kg)以下であるということ。
物体の落下による危険を防止するための保護帽 高温、低温、浸せきした完成品を、中心線が水平に対30度傾斜している人頭模型に衝撃点が保護帽の前頭部及び後頭部となるように装着し、重さ5kgの平面形ストライカを1mの高さから落下させる。装着体は人頭模型に密着しない状態で装着して行なう。試験は前処理後3分以内に終了すること。 1.衝撃荷重が9.81kN(1,000kg)以下であること。

2.7.35kN(750kg)以上の衝撃荷重が1,000分の3秒以上継続しないこと。

3.4.90kN(500kg)以上の衝撃荷重が1,000分の4.5秒以上継続しないこと。
耐電圧性試験
絶縁用保護具の種類 性能電圧
交流の電圧が300ボルト~600ボルト以下の電路について用いるもの 種類に応じその電圧に1分間耐えること 3,000ボルト
交流の電圧が600ボルト~3,500ボルト以下又は直流の電圧が750ボルト~3,500ボルト以下である電路について用いるもの 12,000ボルト
電圧が3、500ボルト~7,000ボルト以下である電路について用いるもの 20,000ボルト

労検ラベルに記載された使用区分

労検ラベルには、使用区分として「飛来・落下物用」や「墜落時保護用」等の記載があります。使用区分によって、構造・機能が異なります。作業内容にあった適切な保護帽を選ぶことが重要です。

飛来・落下物用
帽体、着装体、あごひも付
上方からの物体の飛来、または落下による危険を防止、または軽減するためのものです。

墜落時保護用
帽体、着装体、衝撃吸収ライナー、あごひも付
倉庫に積まれた荷の上、車両の上等、足場または安全帯が使用できない場所からの墜落による危険を防止あるいは軽減するためのものであって、構築物や電柱等のような高所からの墜落による危険までも防止できるものではありません。

電気用
使用電圧7,000V以下で頭部感電による危険を防止するためのものです。

使用区分(種類) 構造 機能
飛来・落下物用 帽体、着装体及びあごひもをもつもの。 飛来物又は落下物による危険を防止又は軽減するためのもの。
墜落時保護用 帽体、着装体、衝撃吸収ライナー及びあごひもをもつもの。 墜落による危険を防止又は軽減するためのもの。
飛来・落下物用、
墜落時保護用
帽体、着装体、衝撃吸収ライナー及びあごひもをもつもの。 飛来物又は落下物による危険及び墜落による危険を防止又は軽減するためのもの。
飛来・落下物用、
電気用(使用耐電圧7,000V以下)
帽体、着装体及びあごひもをもつもので、帽体が充電部に触れた場合に感電から頭部を保護できるもの。 飛来物又は落下物による危険を防止又は軽減し、頭部感電による危険を防止するためのもの。
飛来・落下物用、
墜落時保護用、
電気用(使用耐電圧7,000V以下)
帽体、着装体、衝撃吸収ライナー及びあごひもをもつもので、帽体が充電部に触れた場合に感電から頭部を保護できるもの。 飛来物または落下物による危険及び墜落による危険を防止又は軽減し、頭部感電による危険を防止するためのもの。

厚生労働省の定める「保護帽の規格」は、頭部の安全を確保するための最低限の基準を定めたものであり、保護性能には限界があります。そのため、「労検ラベル」は絶対的な安全性を保証するものではありません。使用するに当たっては最大限の注意を払い、常に安全な作業をするよう取扱説明書に従ってご使用ください。

労検ラベルに記載された帽体の材質

帽体の材質によって特性が異なります。作業内容や環境に応じて、適切な材質の保護帽を選択するようにしましょう。

帽体の材質\性質 耐燃・耐熱性 耐候性 耐電性 耐有機 備考
熱硬化性 FRP製
ポリエステル樹脂をガラス繊維で強化したもの
×
リベット穴より通電するため
耐候性、耐熱性は特に優れるが耐電用としては使えない。
作業内容:屋外/高温・低温/油・薬品
熱可塑性 ABS製
アクリロニトリル
ブタジエン・スチレン
× 耐電用には優れるが高熱環境での使用は不向き。
作業内容:電気/屋外
 PC製
 ポリカーボネート
× 耐候性はABSより優れているが、溶剤・薬品等には不向き。
作業内容:電気/屋外/高温
 PE製
 ポリエチレン
有機溶剤系の薬品を使用する作業に最適。
作業内容:電気/屋外/油・薬品

保護帽の耐用年数

使用期間の長くなった保護帽は、安全のためにも、異常が認められなくても交換することが大切です。

材質 交換の目安
FRP製 (熱硬化性樹脂) 使用期間 5年以内
ABS、PC、PE製 (熱可塑性樹脂) 使用期間 3年以内
着装体 使用期間 1年以内

保護帽の着用方法

正しく着用することで、頭部をしっかり保護することができます。

ヘッドバンドの調節 ヘッドバンドは、頭の大きさに合わせて調節して下さい。(ヘッドバンドの調節が悪いと、使用中にぐらついたり脱げやすく保護性能を十分に発揮することができません。)ヘッドバンドの調整方法は、メーカーの取扱説明書にしたがって、正しく行って下さい。
かぶり方 保護帽は真っすぐに深くかぶり、後ろへ傾けてかぶらないようにして下さい。(あみだかぶりをしないで下さい。)
あごひも あごひもはきちんと締めて下さい。着用中はゆるめたり外したりしてはいけません。事故のとき保護帽が脱げて重大な傷害を受けます。(あごひもの締め方、ゆるめ方、調節方法は、メーカー、販売店の指示にしたがって、正しく行って下さい。)

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