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大切な手を守る「防護手袋」と「国際規格」について知る

大切な手を守る「防護手袋」と「国際規格」について知る

防護手袋とは?

防護手袋とは、「作業者の手や手首上部を、切創等の災害から守る目的で作られた手袋」のことです。熱、振動、切創、電気、化学物質などの危険有害因子より手を保護することを目的とした手袋で、危険有害要因から手を保護するため、適切な防護手袋を選択し、正しく使用する必要があります。

主な目的に応じて、以下のような手袋の種類があります。

電気絶縁用手袋

電気工事などで作業者を感電の危険から守るために使用する手袋。労働安全衛生規則によって高圧・低圧の活線作業では絶縁用保護具の使用が義務付けられています。

溶接用かわ製保護手袋

溶接,溶断作業において,火花,溶融金属,熱せられた金属などが手に直接接触することによる傷害を防止するための手袋。

防振手袋

手腕かかる局所的な振動から守る手袋。グラインダーやチェーンソーなどの振動工具を長時間使用することで手腕の痺れや痛み(振動障害)を予防する。

化学防護手袋

酸、アルカリ、有機薬品などの化学薬品の汚染から手を保護する手袋。対象とする有害な化学物質を考慮して作業に適した手袋を選択することが重要。

耐切創手袋

耐切創繊維(切れにくい機能性繊維)を使用し、手や指を切る切創事故から手を保護する手袋。刃物やガラス・鉄板を扱う作業で使用され、耐切創強度や繊維特性により種類豊富。

耐熱・耐寒手袋

溶接や消火など加熱物を取り扱う作業で、手を高温・熱から保護する耐熱手袋。寒冷な環境でも冷たさを感じず、保温性に優れ高い作業性を実現する耐寒手袋。

防護手袋に関連する主な規格と試験

危険から手を守る防護手袋には、日本の国家標準のひとつであるJIS規格(日本産業規格)によって、以下のような規格があります。

    • JIS T8112 電気絶縁用手袋
    • JIS T8113 溶接用かわ製保護手袋
    • JIS T8114 防振手袋
    • JIS T8116 化学防護手袋

また、主に耐切創手袋に対して行われる、以下のような防護手袋に関する国際規格・試験もあります。

    • EN 388:2016 防護手袋の機会的物性強度の国際規格
    • EN ISO 13997  TDM試験 = JIS T 8052 刃物・ナイフに対する切創抵抗性試験

ここでちょっと寄り道!「EN」と「ISO」ってなんでしょうか。

EN規格とは
EN規格 European Norm(European Standards)は、欧州30か国で構成されるCEN(欧州標準化委員会)やCENELEC(欧州電気標準化委員会)、ETSI(欧州通信規格協会)が発行するEU(ヨーロッパ連合)域内における統一規格です。欧州規格とも言われています。

ISO規格とは
ISO規格 International Organization for Standardization は、国際標準化機構が制定する世界最大の国際規格です。各国の代表的な標準化機関によって組織される世界最大の非政府間国際機関で、電気・電子分野および電気通信分野を除く全ての産業分野について、国際的な標準化を行っています。ISO9000シリーズ(品質マネジメントシステム・監査)やISO14000シリーズ(環境マネジメントシステム・監査)といったマネジメントシステムの規格が注目を集めています。

EN ISO規格とは
ISOもしくはCENにより策定される国際規格で、ウィーン協定に準じ両機関が連携しています。

防護手袋のJIS規格については次回、詳しくご説明します!

今回は、国際規格である「EN 388:2016(ISO 23388)」と、この規格の認証試験で実施される「EN ISO 13997 TDM試験」について、見ていきましょう。

EN 388:2016(ISO 23388)???

アルファベットと数字の羅列で、見ただけで拒否反応が出そうですね…!

EN 388:2016は「機械的リスクに対する防護手袋の要求性能」を規定した製品の国際規格です。ISO 23388にも準拠しています。

「機械工場などで使用されるアラミド等の高強度繊維を使用した耐切創手袋」や、「一般家庭のキッチンで使用されるゴム手袋」等の作業用手袋が評価対象で、防護手袋の機械的リスクに対する物性強度を6項目で評価しています。

① 耐摩耗性
② 耐切創性(Coupe test クープテスト)
③ 引裂強さ(耐引裂性)
④ 突刺強さ(耐突刺性)
⑤ EN ISO 耐切創性EN ISO 13997 TDM試験)
⑥ EN 衝撃保護性

② 耐切創性 と ⑤ EN ISO 耐切創性 、どちらも耐切創性の試験なので、どうして同じものを2つ行うのだろう?と疑問に感じられるかもしれません。実はEN 388規格は2003年版(EN 388:2003)から2016年版(EN 388:2016)に改正されました。この改正より、耐切創性を正確に評価するため2つの試験が行われるようになりました。従来の② 耐切創性(回転刃試験(クープテスト))に加えて、⑤ EN ISO 耐切創性(EN ISO 13997 TDM試験)が追加されたのです。

各試験項目から得られた試験結果により、手袋の性能を以下のように分類します。

レベルが上がるほど、耐摩耗性や耐切創性が強く、丈夫な手袋です。

EN 388:2016のテストおよび承認された手袋には、ハンマーを示すピクトグラムが付いています。手袋に付いているタグや、パンフレットなどで見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。マークの下に記載される数字やアルファベットは、各試験の結果(=この手袋の性能)です。

①から⑥までいろいろな性能を評価していますが、どんな試験を行うのでしょうか。

① 耐摩耗性

試験片を規定の研磨紙で摩耗し、損傷するまでの摩耗回数を決定します。

レベル1:100回、レベル2:500回、レベル3:2000回、レベル4:8000回と規定されており、レベル1の摩耗回数から順番に試験し、損傷した摩耗回数により、耐摩耗レベルを1~4に分類します。

② 耐切創性(Coupe test クープテスト)

試験用丸刃が回転しつつ、50mmの移動距離を往復運動し、試料を貫通するまで切り続ける(切創する)試験機を用います。

試験規格
EN 388:2016(ISO 23388)「機械的防護手袋の要求性能」
JIS対応規格はありません。

貫通するまでの往復回数(距離)をもとに算出(5段階のレベル表示)します。数字が大きいほど耐切創性に優れていることを表します。
「標準試料」と「手袋の掌側から採取した試料」を交互に試験し、試験用丸刃が試料を貫通するまでの往復回数を測定します。その往復回数の値から、最終的に指標値を求めます。得られた指数値により、下記の要求性能に基づいて、手袋の耐切創性レベルを分類します。

③ 引裂強さ(耐引裂性)

短冊状にした試験片を、切れ目に沿って一定の速度で引裂き、引裂くのに要する強度(N)を測定します。

4測定実施し、最低値により、耐引裂レベルを1~4に分類します。

④ 突刺強さ(耐突刺性)

試験片に対し、一定の速度で試験錘を突刺し、突刺すのに要する強度(N)を測定します。

4測定実施し、最低値により、耐突刺レベルを1~4に分類します。

⑤ EN ISO 耐切創性 = EN ISO 13997 TDM試験

一般的な工場等で使用される作業服、ユニフォーム、手袋等において、カッター等の刃物、金属薄板部品、ガラスといった鋭利な物に対する耐切創性(切れにくさ)を定量的に測定します。
試験用刃物と試験片との間に一定の力を加え、試験用刃物が試料を貫通するまで水平方向に動く試験機を用います。

試験規格
・ISO 13997:Protective clothing – Mechanical properties – Determination of resistance to cutting by sharp objects

・JIS T 8052:防護服ー機械的特性ー鋭利物に耐する切創抵抗性試験方法

試験用刃物に加える荷重条件を変え、複数回測定を行い、「試験用刃物に加えた荷重(Cutting force)」と「試験片を貫通するまでに試験用刃物が動いた距離(Cut stroke length)」の関係をプロットし、近似曲線を求めます。その近似曲線より、試験用刃物が20mm移動して試験片を貫通するのに必要な切創力(N ニュートン)を推定する試験となります。(従って、試験結果は、平均値ではありません。)

得られた切創力(N)の値から、耐切創性レベルをA~Fに分類します。Fに近づくほど耐切創性に優れています。

⑥ EN 衝撃保護性

EN 13594(バイク用グローブ)に準拠した試験法で、2.5kgの重りを5ジュールの衝撃エネルギーを付加して、試験対象物上に落としても亀裂が入らないことを確認します。

合格した場合「P」(PASS)、不合格の場合は「F」(FALSE)をハンマーピクトグラムの5種類のレベルが表示された隣に表示します。未実施の場合は何も表示しないか「X」を表示します。

防護手袋と国際規格、いかがでしたか?

規格を知ると、手袋に表示されたマークをしっかり確認できるようになりますし、購入するときに手袋を比較して選べるようになります。国際規格・EN 388:2016の認証マークがついた手袋を見かけたら、ぜひマークの下に記載されたレベル(数字)で比較して見てくださいね!

防護手袋はしっかりと安全性能が確認されたものを使用したいものです。クロスワーカーでは使用目的に応じた防護手袋を多種多様に揃えています。法人さまの購入ご相談はメールで承っておりますので、お気軽にお問い合わせください♪
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