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大切な手を守る「防護手袋」と「JIS規格・電気絶縁用手袋​」について知る

大切な手を守る「防護手袋」と「JIS規格・電気絶縁用手袋​」について知る

前回は防護手袋の種類と、主に耐切創手袋の国際規格・試験であるEN 388:2016(ISO 23388)についてをご紹介しました!シリーズ2回目となる今回は、電気絶縁用手袋のJIS規格や、絶縁用保護具に規定された法律についてもご説明します。

防護手袋とは?

防護手袋とは、「作業者の手や手首上部を、切創等の災害から守る目的で作られた手袋」のことです。熱、振動、切創、電気、化学物質などの危険有害因子より手を保護することを目的とした手袋で、危険有害要因から手を保護するため、適切な防護手袋を選択し、正しく使用する必要があります。

主な目的に応じて以下のような手袋の種類があり、日本産業規格(JIS規格)や国際規格が定められているものがあります。JIS規格や国際規格の試験をクリアして認証を受けた手袋であれば「安心」ですよね。

次は絶縁用保護具と電気絶縁用手袋が何なのか、ご説明したいと思います。そのために絶縁用保護具に定められた法律について、確認していきましょう。

電気絶縁用手袋

JIS T8112 電気絶縁用手袋

電気工事などで作業者を感電の危険から守るために使用する手袋。労働安全衛生規則によって高圧・低圧の活線作業では絶縁用保護具の使用が義務付けられています。

溶接用かわ製保護手袋

JIS T8113 溶接用かわ製保護手袋

溶接,溶断作業において,火花,溶融金属,熱せられた金属などが手に直接接触することによる傷害を防止するための手袋。

防振手袋

JIS T8114 防振手袋

手腕かかる局所的な振動から守る手袋。グラインダーやチェーンソーなどの振動工具を長時間使用することで手腕の痺れや痛み(振動障害)を予防する。

化学防護手袋

JIS T8116 化学防護手袋

酸、アルカリ、有機薬品などの化学薬品の汚染から手を保護する手袋。対象とする有害な化学物質を考慮して作業に適した手袋を選択することが重要。

耐切創手袋

国際規格・試験のEN 388:2016(ISO 23388)は、主に耐切創手袋に用いられる規格です。

耐切創繊維(切れにくい機能性繊維)を使用し、手や指を切る切創事故から手を保護する手袋。刃物やガラス・鉄板を扱う作業で使用され、耐切創強度や繊維特性により種類豊富。

耐熱・耐寒手袋

溶接や消火など加熱物を取り扱う作業で、手を高温・熱から保護する耐熱手袋。寒冷な環境でも冷たさを感じず、保温性に優れ高い作業性を実現する耐寒手袋。

高圧・低圧の活線作業で「絶縁用保護具」を着用することは義務

厚生労働省の「労働安全衛生規則」において、高圧、低圧の活線作業では絶縁用保護具を着用すること(第341、346条)、及び周囲の充電部で作業者が接触または接近による感電のおそれのあるものには絶縁用防具を設置するよう規定されています。

絶縁用保護具と絶縁用防具の違い、ちょっと分かりにくいかもしれないので、表にまとめました。絶縁用保護具は身につけるもの、絶縁用防具は電線路に装着するもの、と覚えてください。

そして、電気絶縁用手袋は、絶縁用保護具のうちのひとつです。

絶縁用保護具と絶縁用防具の違い

  用途
絶縁用保護具 電気工事作業に従事する労働者が体に着用し、作業者の感電災害を防止するために使用される絶縁材料で作られた保護具 電気用保安帽
電気用ゴム手袋
電気用長靴
絶縁衣 等
絶縁用防具 電気工事の作業で作業者を感電災害から守るために、電線路(充電電路)に装着する絶縁材料で作られた装具 ゴムシールド管
絶縁シート
絶縁用ゴム板
高圧カットアウトカバー 等

労働安全衛生法 第二十二条

 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四 排気、排液又は残さい物による健康障害

労働安全衛生規則 第三百四十一条(高圧活線作業)

 事業者は、高圧の充電電路の点検、修理等当該充電電路を取り扱う作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのあるときは、次の各号のいずれかに該当する措置を講じなければならない。
一 労働者に絶縁用保護具を着用させ、かつ、当該充電電路のうち労働者が現に取り扱つている部分以外の部分が、接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるものに絶縁用防具を装着すること。
二 労働者に活線作業用器具を使用させること。
三 労働者に活線作業用装置を使用させること。この場合には、労働者が現に取り扱つている充電電路と電位を異にする物に、労働者の身体又は労働者が現に取り扱つている金属製の工具、材料等の導電体(以下「身体等」という。)が接触し、又は接近することによる感電の危険を生じさせてはならない。
2 労働者は、前項の作業において、絶縁用保護具の着用、絶縁用防具の装着又は活線作業用器具若しくは活線作業用装置の使用を事業者から命じられたときは、これを着用し、装着し、又は使用しなければならない。

労働安全衛生規則 第三百四十六条 (低圧活線作業)

 事業者は、低圧の充電電路の点検、修理等当該充電電路を取り扱う作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該労働者に絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具を使用させなければならない。
2 労働者は、前項の作業において、絶縁用保護具の着用又は活線作業用器具の使用を事業者から命じられたときは、これを着用し、又は使用しなければならない。

購入時は必ず「型式検定合格標章」を確認しよう

絶縁用保護具・防具は、厚生労働省の型式検定対象品目に指定されており、厚生労働大臣または都道府県労働基準局長が指定する型式検定機関(検定代行機関)によって試験され、検定に合格したものでなければ製造・販売・譲渡してはならないことになっています。

また、絶縁用保護具・防具は、厚生労働省の型式検定に合格した製品を使用するよう法令で義務づけられています(労働安全衛生法第44条の2)。

そのため、購入・使用する時は検定合格品であることを示す「型式検定合格標章」が貼付されていることを確認するようにしましょう。

労働安全衛生法 第44条の2
  1.  第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。
  2.  前項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において同項本文の機械等を製造した者(以下この項及び第四十四条の四において「外国製造者」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該機械等の型式について、自ら登録型式検定機関が行う検定を受けることができる。
      1.  当該機械等を本邦に輸出しようとするとき。
      2.  当該機械等を輸入した者が外国製造者以外の者(以下この号において単に「他の者」という。)である場合において、当該外国製造者が当該他の者について前項の検定が行われることを希望しないとき。
  3.  登録型式検定機関は、前2項の検定(以下「型式検定」という。)を受けようとする者から申請があつた場合には、当該申請に係る型式の機械等の構造並びに当該機械等を製造し、及び検査する設備等が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、当該型式を型式検定に合格させてはならない。
  4.  登録型式検定機関は、型式検定に合格した型式について、型式検定合格証を申請者に交付する。
  5.  型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。型式検定に合格した型式の機械等を本邦に輸入した者(当該型式検定を受けた者以外の者に限る。)についても、同様とする。
  6.  型式検定に合格した型式の機械等以外の機械等には、前項の表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
  7.  第1項本文の機械等で、第5項の表示が付されていないものは、使用してはならない。

絶縁用保護具と防具は、定期自主検査も義務付けられている

絶縁用保護具及び防具に関する構造・性能については、厚生労働省(労働省)告示第百四十四号において「絶縁用保護具等の規格」で規定されています。

新品で購入し、ほぼ使わなかったとしても、絶縁用保護具・防具が経年変化等により新品時から劣化していきます。劣化したことに気がつかず使用してしまえば、作業者が感電する危険性があります。

そのため、型式検定に合格した絶縁用保護具・防具について、事業者は6ヶ月以内ごとに1回、定期的に絶縁性能について耐電圧試験を実施しなければならない、と労働安全衛生規則(絶縁用保護具等の定期自主検査)に規定されています。ただし、定期自主検査時の耐電圧性能は型式検定合格時の耐電圧性能でなく、型式検定時に要求した半分の値以上を維持していれば良いとされています(定期自主検査時の耐電圧性能は、労働基準局長通達(基発第四一五号)にて規定されています)。

また、6か月以上使用していない絶縁用保護具・防具については、使用を開始するときに絶縁性能を自主検査しなければならないことになっています。

「絶縁用保護具等の規格」と「定期自主検査時の耐電圧性能」のまとめ

  絶縁用保護具の種別  構造規格
(新品時)
労働基準局長通達
(定期自主検査時)
低圧用 交流の電圧が、300V を超え600V 以下の電路で用いるもの 3,000V / 1分間 1,500V / 1分間
高圧用 交流の電圧が、600V を超え3,500V 以下、または、
直流の電圧が、750V を超え3,500V 以下の電路で用いるもの 
12,000V / 1分間 6,000V / 1分間
  電圧が3,500V を超え7,000V 以下の電路で用いるもの  20,000V / 1分間 10,000V / 1分間

絶縁用保護具等の規格 厚生労働省(労働省)告示第百四十四号

第三条 絶縁用保護具は、常温において試験交流(五十ヘルツ又は六十ヘルツの周波数の交流で、その波高率が一・三四から一・四八までのものをいう。以下同じ。)による耐電圧試験を行つたときに、次の表の上欄に掲げる種別に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる電圧に対して一分間耐える性能を有するものでなければならない。 *表は上にまとめています。

労働安全衛生規則 第三百五十一条(絶縁用保護具等の定期自主検査)

事業者は、第三百四十八条第一項各号に掲げる絶縁用保護具等(同項第五号に掲げるものにあつては、交流で三百ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるものに限る。以下この条において同じ。)については、六月以内ごとに一回、定期に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。ただし、六月を超える期間使用しない絶縁用保護具等の当該使用しない期間において
は、この限りでない。
2 事業者は、前項ただし書の絶縁用保護具等については、その使用を再び開始する際に、その絶縁性能については自主検査を行わなければならない。
3 事業者は、第一項又は第二項の自主検査の結果、当該絶縁用保護具等に異常を認めたときは、補修その他必要な措置を講じた後でなければ、これらを使用してはならない。
4 事業者は、第一項又は第二項の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について 労働基準局長通達(基発第四一五号)

七 第三五一条関係
 本条の絶縁性能についての定期自主検査を行う場合の耐電圧試験は、絶縁用保護具等の規格(昭和四七年労働省告示第一四四号)に定める方法によること。ただし、絶縁用保護具及び絶縁用防具の耐電圧試験の試験電圧については、次の表の上欄に掲げる種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める電圧以上とすること。 *表は上にまとめています。

絶縁用保護具のひとつ、電気絶縁用手袋のJIS規格

日本工業規格「JIS T8112 2014」は、7,000V以下の電気回路の作業に使用する電気絶縁用手袋について規定しています。

2014年に改定公示され、従来のA種・B種・C種から、J00、J0、J01、J1の4種類になりました。

クラス 最大使用電圧 試験電圧 厚さ(mm) 材料
J00 交流 又は 直流 300V 交流 1,000V / 1分間 0.2~2.0 加硫ゴム、
エラストマー、
プラスチック
J0 交流 600V 又は 直流 750V 交流 3,000V / 1分間 0.4~2.0
J01 交流 又は 直流 3,500V  交流 12,000V / 1分間 1.0~1.9
J1 交流 又は 直流 7,000V  交流 20,000V / 1分間 1.1~2.7

手袋には次の特殊物性がオプション機能として追加できます。

手袋の種類(記号):特性

A: 耐酸性
H: 耐油性
Z: 耐オゾン性
R: 耐酸性+耐油性+耐オゾン性
C: 超低温性

JIS規格では以下の試験に対して規格値がそれぞれ設定されています。

    • 機械的性能として、引張強さ及び切断時の伸び、引張永久ひずみ、耐貫通性
    • 電気的性能として、耐電圧性能と充電電流、
    • 他にも老化性能、低温耐久性能、特殊性能を持つ手袋の場合はそれに応じた性能試験

JIS規格の基準をクリアしたものが、「J00」適合品や「J1」適合品などとして販売されます。

なお、対応する国際規格は、IEC 60903:2002(MOD)です。JIS規格では7,000Vを超える電路で使用できる絶縁用保護具・防具についての型式検定は行われていませんが、国際規格のIEC 60903では交流36,000V、直流54,000Vまで使用できる電気用手袋の規定があります。

* IEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)は、電気・電子技術分野の国際規格の策定を行っている国際標準化機関です。加盟国数は2018年1月現在、84か国です。
* 対応の程度を表す記号“ MOD ”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき“ 修正している ”ことを示しています。

絶縁用保護具と電気絶縁用手袋のJIS規格、いかがでしたか?

2014年のJIS規格改定に伴い、電気用絶縁手袋には特性をつけることができるようになりました。業務によっては電気用ゴム手袋としてだけでなく、超低温にも耐えることが求められることもあると思います。規格を知ると、手袋に表示されたマークをしっかり確認できるようになりますし、購入するときに手袋を比較して選べるようになります。防護手袋はしっかりと安全性能が確認されたものを使用したいものですね。

クロスワーカーでは使用目的に応じた防護手袋を多種多様に揃えています。法人さまの購入ご相談はメールで承っておりますので、お気軽にお問い合わせください♪

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